住民総出で窃盗犯を捕まえた



  • メルボルンをギュッと凝縮したような住宅地

所謂、新興住宅地に私たちは住んでいる。
何もなかった場所を開発して住宅地を作っているから、実際に入居するまで隣、向かい、裏隣に誰が住んでいるかはわからない。

幸運にも隣接する家はまともでごく一般的な人たちが暮らしていて、ご近所問題は今のところなし。
うちがある通りもほとんどの家は持ち主自身が住んでいて、お互いに気持ちの良い生活ができる距離感があって私は好きだ。
週末に出かけるタイミングが重なってそのまま立ち話をしていたら、他の家からも人が出てきてまた立ち話、なんてこともよくある良い関係。

メルボルンらしく、見事にどの家もルーツや出身国はバラバラで、世界中から人が集まってきた移民大国オーストラリアらしい、小さなコミュニティだ。
(ざっと数えてみたけどこの小さな通りだけでも12言語が通じる!住宅地全体だったらすごい数になりそう。)

そんな私たちの生活が今脅かされている。

  • 車上荒らしが映っていた

住宅地内では全軒とまではいかないけれど、かなりの数の家が監視カメラを設置していて、敷地内はだいたいカバーしているように思う。
とある平日の深夜、某家の監視カメラに車上荒らしが映っていた。
ニット帽をかぶった男が車をこじ開けようとするんだけど、結局アラームが鳴って立ち去るという映像。
翌日朝、オーナーがすぐさま住宅地WhatsAppグループに映像をシェアしてくれたおかげで、車上荒らしについて周知できたし、一段と施錠やセキュリティ対策に気を付けるようになった家が増えたと思う。
実は、未遂事件が起きた夜、寝ぼけまなこに私も車のアラームを聞いていた。

  • 36分間で起きたこと

そんな未遂事件が起きた翌週、事件が起きた。
まだ眠るのにはまだ早い21時過ぎ。
あのWhatsAppグループに今録画したばかりの監視カメラの映像が送られてきた。
先日の男のような風貌の人物が、某家の窓からそっと中を確認した後、すぐさま車へ向かいドアを開けようとしている。
すぐさま、
「I'm ready.」
「Let's go!」
と他の住人から次々とメッセージが入ってきた。

このグループチャットには住宅地内の数十軒が登録していて、日々何かあるごとに情報を共有している。
そんな、超アクティブなグループチャットで情報共有していること、無数の監視カメラが設置されていること、そしてそれを住人同士で共有してることなんて犯人はつゆ知らず。
次のターゲットを探して住宅地内を徘徊しているときた。

各家が監視カメラや目視で確認しながら、
「今、XXストリートに入った」
「XX番地のあたり」
「マスク忘れないで!」
なんて犯人の位置情報がグループチャットに次々と流れてくる。

そして、こともあろうことか、犯人が我が家のある通りへと近づいてきた。
それでなくても他に怪しい動きがあるから、このエリアの住人はストレスが溜まっているっていうのに、窃盗犯に来られたらたまったもんじゃない!

居場所がほぼ特定できたとわかると、がたいの良い男たちが次々に家を飛び出して、追われていると知らない犯人を前後左右からじわじわと追いつめていく。
監視カメラ映像が共有されて16分後、嬉しい知らせが入る。
「The rat has been cornered.」
「We got him surrounded.」
いくら悪い奴だって一人 vs 大勢じゃ勝算は低い。
住人に挟み撃ちにされた犯人は小さな通りで動けなくなってしまった。

幸いマスクをしているから犯人に顔を覚えられることもないだろうけど、身元特定を防ぐためにも「お互いの名前を呼ばないように」とメッセージが入る。確かに。

一方で家で見守っている住人たちは警察に通報して援護する。
あの時、何軒が通報したかわからないけど、結構な数だったんじゃないかな。
もちろん我が家も通報する。
※オーストラリアは、警察、消防、救急の緊急連絡番号が「000」の一本に集約されている。

警察に繋がると、
・エリアと住所
・何が起きているか、
・犯人の特徴(体格や人種、服装など)
を聞かれるので、わかる範囲でオペレーターに伝える。
通報者の名前を聞かれるけどAnonymous(無名)でも大丈夫。

最後に「犯人が凶器を持っているかもしれないから近づかないように」と注意され通報完了。
ちなみに到着予想時刻は教えてもらえなかった。

※実は000の前に他の件でやり取りしている最寄りの警察に直接電話したんだけど、まさかの塩対応で「Why don't you call 000?」って聞かれる始末・・・。
「前回、また何かあればここに電話してって言われたんだけど」って伝えると苦笑い。
しびれを切らして、「000に電話しないと警察来ないの?(オペレーターの)あなたがかけてくれるの?かけ直し?」って尋ねると、まさかの返事。
「かけ直して。」
他の家も通報しているから今回は大丈夫だろうけど、めっちゃ時間ロスやん!ってやり取りがあったから、緊急時は000にかけないとね・・・。

監視カメラ映像が共有されて36分後、ついに警察が到着。
私は現場には行かなかったからどんなやり取りがあったか詳しいことはわからない。
(映画でよく観るような「Police!Freeze!」とか「Get down!」みたいになってるのかな?!!!!って彼に言ったら、ないでしょ~って。)
証拠映像もあるし、犯人は手錠をかけられ警察に連行されていった。


  • たった数か月でこのチームワーク!


余罪があるのかどうかわからないけれど(みんなで映像解析した結果、前回とほぼ同一人物だろうとはなった)今回も未遂だったから実際逮捕されずに釈放じゃないかと私たちはみている。(となると、また戻ってくるかもしれない。)

引っ越してきたばかりでお互いの繋がりが弱い新興住宅地は狙いやすいのかもしれない。
確かにお互い顔を知らない人もたくさんいるけど、この一件で繋がりは決して弱くないと確信した。
何かあった時のスピード感や流れなんかも見ることができたし、良い予行演習になったと思っておこう。
そして何よりこのコミュニティの結束力は増したはずだし、信頼できるご近所さんたちに少しほっとしている。

コロナが収束したらこの小さな通りで一度集まれるといいねと話している。
一軒家暮らしも悪くない。
そう思わせてくれる、コミュニティだ。

コメント

このブログの人気の投稿

オーストラリアのスーパーで購入する箱アイス マイベスト6

実際に購入した、私が欲しいオーストラリア土産

コストコオーストラリアのカロリー高めのお気に入りアイテムと失敗アイテム