メルボルンで正統派の寿司を食べる

日本での仕事を辞めて世界を放浪していた26歳の頃の私は日本食に対する執着はほぼなかった。
継続して移動する貧乏旅行生活の中では「そこでしか食べられないものを今食べておく」ことと「安い食事(となるとやっぱりローカル食になる)で食費を押さえること」しか頭になかった。
海外旅行に行くと日本食が恋しくなるという人もいるけれど、たかが1年の貧乏旅行では全くそんなことも感じなかった。
それでも過酷なチベットを抜けた後、ネパールで食べた日本食は泣ける程美味しかったことは覚えている。

それが海外の一か所に定住となるとライフスタイルも食生活も好みも変わる。
海外在住5年目。
いわゆる正統派純日本食が大好きだ。



約4年住んでいたマレーシア・クアラルンプールで食べる日本食のレベルの高さは抜きん出ていると思う。
日本人シェフや日本人オーナー経営の日本食レストランは数え切れないほどあって、接待や出張者対応で使ったり、お世話になった社長や上司たちに連れてきてもらったりするような高級店(もちろん自分じゃ払えない)から、普段友達と気軽に行けるような値段で日本人シェフが日本のクオリティを提供してくれる店、日本で一度はお世話になったことあるような日系飲食チェーンだってマレーシアにはあふれている。
もちろん味は日本の味そのもの、もしくはそれ以上じゃないかと思えるものだってある。
マレーシアを去る前に働いていた職場なんかは建物内にいくつも日系レストランが入っていて、ランチにはドラマで見る丸の内のOLばりに今日は何にしようかと悩めるほどの選択肢があった。
家の近くだって徒歩圏内だけでも10軒以上は日本食レストランがある、そんなところに住んでいた。
正統派の日本食にこんなにも手軽にありつけるのはクアラルンプールを除けばバンコクくらいなんじゃないだろうか。

今私が住んでいるメルボルンは日本食が全くないのかというとそういうことでもない。
街中を歩いていると結構な頻度で日本食レストラン(風)の看板を見かける。
特に多いのがテイクアウトの寿司。
大量生産されたユニークな寿司がショーケースに並んでるタイプのやつ。
私も海外で日本食レストランを経営している友人を見てきて、日本人の思ううまさを追求するだけじゃなく多少オリジナルから離れてしまってもその土地で受け入れられるための工夫をこらしているのを知っているし、自分も海外で一日本人として働いてきたから、日本流を通すことが正義ではなくその土地にある程度同化することを受け入れる柔軟性が大切なことも身に染みて経験している。
だから、ショーウィンドウに並べられた寿司もきっとビジネスとしては成功。
それを私が食べたいと思うかは別にして。
10年前に比べたら日本食ブームとは言え、まだまだマレーシアに比べればやっぱり選択肢の少ないし、テイクアウトの寿司と食べ放題の溢れ具合もなかなかだ。



日本食難民かもしれないと思っていた矢先、今年のバレンタインデーに彼が予約してくれたお店は「鮨南嶋」。
どうやら「ここがダメならもうメルボルンで連れていける日本食はない」レベルのお店らしい。

鮨南嶋はメルボルン・リッチモンドにある。
シティに住む私たちの家からは車で15分くらいの距離。

店内で働くスタッフのほとんどが日本人だ。
労働力不足でローカルよりも安い賃金で雇うことのできるミャンマーやネパール、インドネシア、バングラからのワーカーに依存するマレーシアと決定的に違うところだ。
ここオーストラリアじゃ日本人ワーカーって感覚になるのかもしれないけど。
(いつかマレーシアとオーストラリアの労働力についてもまとめてみたい。)



店内のデザインは日本らしさがありつつも余計なものがなくスタイリッシュですっきりしていて私はすごく好き。
店内に通されると目に入ってくるロングカウンター。
カウンターとは別にテーブル席もあるけど商談や接待もしくはグループでない限りは、目の前で日本人の寿司職人が鮨を握る過程が見れるカウンターのほうがエンターテイメント性が高いしデート向き。
ちなみにカウンターに立つ三人の寿司職人さんも全員日本人。


メニューはおまかせのみ。
コースとは別に本日の一品として紹介してもらったのが、
・下関産のふぐ刺し
・鹿児島のA5ランク和牛の何か(忘れた)
・北海道タラバガニの何か(忘れた)
せっかくなので私たちはふぐ刺しを注文した。

まずは先付。
昆布出汁のゼリー。の中に入っているのはなんだったっけ。忘れた。
塩気がいい塩梅。



先付の後はおまちかねの寿司!と思ったら実はこれ、からすみと餅と梨の巻物。
(こういうのって巻物って呼ぶのかわからないんだけどのりだから巻物?)
いきなりユニークなものが出てきてビックリしたけどこれがめちゃくちゃ美味しくって。
今までからすみって食わず嫌いだったけど梨とすごく合っていて、シャリの代わりのお餅のモチモチ感もおもしろい組み合わせ。



次は一品でオーダーした下関産のふぐ。
ふぐ刺しにふぐ皮、にこごりが少しずつ。
日本の冬の味覚が味わえた。



そしてここからはお待ちかねの握り。
まずは一貫目。
さっぱりとした梅の風味が淡泊な白身魚に合っていた。(魚何だったっけな・・・)



二貫目イカ。



三貫目タコ。



四貫目、甘エビ。
上に乗っているのは塩昆布。



五貫目、ほたて。



六貫目、カレイのえんがわ。
スシローのえんがわが大好きなんだけどそれとはまた全然違う美味しさに出会ってしまった。



七貫目、オーストラリア産マグロ。



八貫目、大トロ。
口の中で溶けるトロの油。やっぱり大トロ最高。



九貫目、子持ち昆布。
正月のお節料理のイメージしかなかったけれどこうやって食べるんだ。
これも食わず嫌いだったんだけど克服。



十貫目、かつお。



十一貫目、鯖。



十二貫目、穴子。



そして最後はたたきといくらの小さな丼。



そしてビックリするくらい美味しかったのがこの卵焼き。
カステラのようなこの甘さがいい。
しっとりしていていくつでも食べれる感じ。
彼の感想は「レイヤーケーキ」(このひとかけらでマレーシアのレイヤーケーキ何本買えるんや・・・)



最後に椀物を頂く。
三つ葉が香る鰹出汁にふわふわサーモンのすり身の団子が入っている。



お食事終了。
全ての料理が出た時点で追加注文を聞きにきてくれるがこの時点でもうお腹いっぱい。
次回は一品ものを頼まずに大トロを追加注文したい。

食後に水菓子と京都のお茶を頂く。
日本酒の香りがする爽やかな寒天の中には餅米が入っている。
甘さも控えめでさっぱりとした和を感じるデザート。
水菓子でフルーツが出てくるよりもこういうデザートのほうが嬉しくなる。



美味しい寿司と上質な時間。
都度、彼には英語で私には日本語で二度の一品一品説明をしてくれた寿司職人さんの気遣いも(私、子持ち昆布とか英語で説明してもらっても絶対わかんない)、説明後に笑顔を添えてさっと引く上品な姿も、いろんなところで取り上げられ高評価を受けている理由の一つ。



私たちの二度目のバレンタイン。
まさかメルボルンでこんなにも美味しい寿司を食べれるなんて思ってもいなかった。

まだまだ知らないことばかりのこの街。
引きこもってばかりいないでもうちょっと外出してみようかな。

 

 

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