食でオーストラリアを旅する ファインダイニングLUME

2021年5月。
モダンオーストラリア料理が食べられるLUMEに行ってきた。

LUME ルーメ


South Melbourneにある一軒家レストラン「LUME(ルーメ)」。
人気カフェSt.Aliやサウスメルボルンマーケットにほど近く、トラムでのアクセスにも困らない、旅行者にも訪れやすい立地だ。

このレストランのコンセプトは「ビクトリア州を旅する」。
ビクトリア州を中心としたオーストラリアのローカルな食材を使い、自然や生態系を表現したクリエイティブな料理を楽しむことができる。
オーストラリアの伝統食も取り入れているから、オーストラリ特有のものを食べてみたい旅行者にも楽しめる、個性あるファインダイニングレストランだ。

数年前のレビューや口コミはネガティブで辛辣なものがよく目についたけれど(実際にその頃のLUMEを体験した彼もいまいちだったみたい。)ヘッドシェフが変わってメニューも一新されたからか、直近のレビューは上々だ。


  • メニュー

3種類のコースが用意されている。

・The Journey Menu 390ドル
・Full Menu 295ドル
・Short Menu 195ドル

※Full MenuとShort Menuにはビーガン用メニューあり。

ペアリングメニューは以下の通り。

・Paring Menu(The Journey Menu / Full Menu)150ドル
・Paring Menu(Short Menu)105ドル

私たちは「Full Menu」を体験した。




  • FULL MENU(13コース)

SPARGO CREEK
coniferous forest
essence of the forest, sourdough & butter

どのコースも、Pine(松)を使ったバターと松を使ったサワードウから始まる。
バターは松ぼっくりの器に、パンは松の葉の器に乗った、松尽くし。



VICTORIAN HIGH COUNTRY
mountain ranges / cool temperate rainforest
venison charcuterie

Mountain Pepper Leafと呼ばれるオーストラリアに自生する特有のスパイスを使った、鹿肉のブレサオラ(左奥)に、Pine(松)やコケ植物、Mountain Pepper Wood、ベリーで燻製した鹿肉のペッパローニ(右奥)。そして、鹿のすじ肉のクラッカー(手前)。
先住民アボリジニが何千年にも渡って食べてきたオーストラリアのネイティブフード(伝統食品)のひとつ、Muntrie(マントリー、ムントリー)のピクルスと共に(小皿)。


PORT PHILLIP
marine / intertidal / sand dunes
mussels & its shell
sea lettuce, clams
unwanted wakeme, abalone coastal flowers

海の恵みが詰まったフィンガーフード3種類。
モーニントン半島Mount Martha(マウント・マーサ)産のムール貝は、蒸してマリネした身が、海藻やsamphireと呼ばれる植物から作られた貝殻に乗っている。
手前はアオサ、右はアワビをそれぞれ使っている。





MASFIELD
grasslands / grassy woodlands
rabbit, autumn leaves, hay

ヤムやさつまいもから作ったカラフルなもみじの葉が秋らしさ溢れるプレート。
その下にはタラゴンとビネガーのソースとウサギの肉。


WIMMERA
plains woodlands / rocky outcrops / farmland
black lentils, wild fennel, daises, horseradish

メルボルンとアデレードのちょうど真ん中あたりに位置するWimmera(ウィマー)にインスパイアされた一品。
黒レンズ豆とひよこ豆のパパダム。


OTWAYS
cool temperate rainforest / pine forest
saffron milk caps, boletes, oxalis, spruce

Saffron milk caps / Pine MushroomsとBoletesというマッシュルームを使った一皿。
針葉樹の火と煙の中で調理したキノコの上には、パリッとした針葉樹を象ったモチーフとすっきりとしたソルベが乗っている。
松の木から作ったハンドクラフトのお皿に乗って松尽くし。


KANGAROO ISLAND &  BASS STRAIT COAST
creeks / dams / saltmarsh
marron & a salt marsh

オーストラリアでよく食べられるらしい、Marron(マロン)と呼ばれる食用ザリガニ。
カラフルで目でも楽しめる一皿。
ソースが濃厚で美味しい。
海ブドウはまさかオーストラリアで食べるとは思っていなかったので驚き。
追加料金でScampi Caviarと呼ばれる青いキャビアを乗せることもできる。



MURRAY DARLING BASIN
floodplains / halophytic shrubland / inland rivers
murray cod, desert lime, old man saltbush

マントリーに続いてネイティブフード2つ目。
柑橘類のDesert Lime(デザートライム)とSaltbush(ソルトブッシュ)と呼ばれる乾いた土地に分布する植物を使ったソースとオーストラリア最大の淡水魚Murray Cod(マーレーコッド)。
Murray Darling Basin(マレー・ダーリング盆地)の恵みが詰まった、さっぱりとした一皿。
ちなみにこの魚、コッド(タラ)という名だけど、タラとは分類が異なるらしい。
そして、ブラックバスやブルーギルと同様、琵琶湖でも確認されているそう。


VICTORIAN HIGH COUNTRY
mountain ranges / cool temperate rainforest
venison and its surroundings

ミディアムレアの鹿肉のチョップ。
乳白色のソースは酸味が強い。
この時点でかなり満腹感が強いから、小食の人は品数の少ないShort Menuをおすすめする。



GLENELG
sand heathland / urban
juniper & muntrie bonsai

盆栽をイメージしたという、個性的なプレゼンテーションの一皿(皿というか鉢)。
アイスの実にしか見えないめちゃくちゃ冷たいソルベは、魚、肉と重いものが続いて、甘いデザートに移る前のお口直しにぴったり。



BASS STRAIT COAST
maritime
a trip to the bass strait coast

わかめを使ったデザートなんて、人生で初めて食べた。
磯の香りがするのにしっかりデザートで、ハニーコムとの相性も抜群。
わかめってこんな食べ方ができるんだと衝撃だった。
個人的にLUMEで一番好きな一皿。



BOOBOROWIE
farmland / plains
not choc

「not choc」と書かれているようにチョコではない。
ココアやチョコレートに似た風味を持つ、carob(キャロブ)というマメ科の植物を使ったデザート。
チョコっぽくはあるけどチョコじゃない、だけど言われなかったらチョコじゃないなんて気付かなさそう。




ここでデザートにコーヒーか紅茶を尋ねられる。(追加料金)

AUSTRALIA
a selection of australian sweets

〆のデザート。
アンティークなお菓子の缶にはコアラとカンガルーの形のキャラメルガナッシュ入りダークチョコレート。
手前の海苔巻きのようなスイーツは本当に海苔巻きで、中身はホワイトチョコのようなハニーガナッシュ。
そしてもう一つは、Pate de Fruitと呼ばれるグミのようなお菓子。
梅味で酸味が強め。
名前が思い出せないけど日本のあの酸っぱい粉のついたグミを思い出した。






  • LUMEまとめ

明るい店内にフレンドリーでカジュアルなスタッフ、店内の音楽もカジュアル。
良くも悪くもオーストラリアらしさのある、気負わずに食事できる雰囲気のLUME。
パリのミシュラン星付きレストランとはまた違う雰囲気だ。

この日、テーブルへ案内されてから店を出るまで4時間強。
Full Menuは13コースではあったけど、まさかここまで長いとは思わなかったからとにかく疲れた。
テーブルごとに担当を付けていないのか、料理の出てくるタイミングがいまいち(一品一品の間が結構空くので待ち時間がとにかく長い)だったことに加え、椅子が固く長時間はなかなかきつかった。
時間に余裕をもって、できるだけ早い時間にスタートするのをおすすめする。
(ちなみにかなりのボリュームだったので、Short Menuでも十分だったかな。)

フィンガーフードというか手を使って食べる料理が多く、それには結構驚いたのと、オーストラリアを旅するという割に日本色が結構強く感じた。
斬新で新しい体験をできたのはよかったけれど、正直、いまいちだったり残念なところが少し目についてしまったことは否めない。

シェフ直々に「私が作りました」とプレゼンテーションしてくれたこと、この日までネイティブフードなんて全く知らなかったから、知識として学べたのと、実際にそれを食べることができたのはすごくよかった。
オーストラリア特有の食材や郷土食(彼らがそれを毎日食べているかどうかは置いておいて)を探している人にはぜひおすすめしたい。


  • LUME 基本情報

住所 226 Coventry St, South Melbourne VIC 3205

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